The origin of Zipang

本稿は、「仁絆俱」という名に込めた想いと、日本の社会について記したものです。 少々長文となりますが、ご一読いただけますと幸いです。

仁絆俱の由来

【第1部】JAPANの源

1.「心の相続」 

 「仁絆俱」は「ジパング」と読みます。「黄金の国ジパング」の黄金を、ゴールドのような「物質」ではなく「心」に置き換えて再定義した言葉です。“「仁」の心で、人と人が「絆」を結び、「俱(とも)に」歩む”という意味を込めた言葉です。
 お客様から相続や不動産のご相談を受ける際、土地や建物の単なる取引業ではなく、『心の相続』を支える存在でありたいと考え、日本に希望を見出す言葉である「ジパング」に、「人の想いをつなぐ」という理念を重ね、漢字表記を考案しました。これまで「ジパング」に定着した漢字表記はなかったため、独自に漢字を選定したものです。

2.「ZIPANG」と「JAPAN」 

 平安時代、東北地方の奥州平泉(現在の岩手県西磐井郡平泉町)は、京の都に次ぐ大都市でした。この地にある中尊寺金色堂(国宝建造物第1号・世界文化遺産)の輝きがきっかけとなり、マルコ・ポーロの『東方見聞録』で、日本は「黄金の国ジパング」としてヨーロッパに紹介されました。
 日本が「ニッポン」ではなく「ジャパン」と呼ばれるようになったのは、「ZIPANG」が「JAPAN」の語源だからだと言われています。

3.震災と心の絆

 2011年3月11日、東北地方を中心に発生した東日本大震災は、多くの尊い命と財産を奪いました。しかし、極めて困難な状況下にあっても、略奪や暴動に走ることなく互いに助け合う姿が見られ、被害が無用に拡大することはありませんでした。報道によれば、津波で流出した金庫の90%以上が警察に届けられ、持ち主のもとへ返還されたといいます。
 もちろん、美談ばかりであったわけではないでしょう。被災した当事者にしかわからない、想像を絶する苦悩や出来事も数多く存在したはずです。被災地の現実を決して忘れてはなりませんが、そうした極限状態にあっても、被災された方々は、他者を思いやり秩序を保ち、強い信念を持って規律ある行動を貫かれました。

4.国の源 

 極限の状況においてこそ、人の本性がより鮮明に表れるものです。被災地の方々が示された気高い行動は、多くの人々に深い感銘を与え、「JAPAN」は多くの海外メディアで称賛されました。その行動から、私たちは大切なことを学ばせていただきました。被災された方々が見せてくださった尊い姿勢に、心からの敬意を込めて、ここに記させていただきます。
 「国の宝」とは、ゴールドのような物質ではなく、「心ある人」そのものであり、それこそが「国の源」である。私はそのように感じています。人々の日々の心がけがあるからこそ、治安の良い社会が成り立っています。心ある人々が、強い絆によって成り立つ国――それが日本であり、「真のZIPANG」ではないかと考えます。

【第2部】現代の日本と失われゆく絆

5.「損得」と「仁徳」 

 しかしながら、世の中は決して美徳だけで成り立っているわけではなく、信頼や誠実さが置き去りにされることもあります。特に金銭等の「数値」に関する不正や犯罪は、後を絶ちません。利益や効率が最優先されるあまり、成績・業績といった「数値による評価」が、「人や組織を測る指標」として、絶対視される現代社会ですが、その基盤となるのは「信頼(ソーシャル・キャピタル)」です。
 決して「数値主義」を否定するわけではないのですが、精神性を失った「数値至上主義」に、寂しさを覚えるのは私だけでしょうか。誠実さ(仁徳)から成る信頼できる指標であってこそ、正確でより良い判断ができ、ビジネスも人生も豊かにすることができます。「数値なき仁徳」は無力かもしれませんが、「仁徳なき数値」は人を傷つけてしまいます。
 被災地で起きた「金庫の返還」は、人々が目の前の数値「損得」を乗り越え、「仁徳」を体現したからこそ、世界の人々を驚かせたのではないでしょうか。

6.「横の絆」と「縦の絆」

 震災発生後、「絆」という言葉が広まり、人々の心が支援の輪として大きく広がりました。その一方で、すでにこの世を去った人々や、祖先とのつながりといった「縦の絆」への関心は、次第に薄れつつあるように感じられます。今や盆や彼岸は単なる休日となり、核家族化や少子化の進行によって、世代間のつながりは希薄になってしまったようです。
 さらに国際化が進む現代社会では、多様性や効率性が重視される反面、あらゆる物事を合理的に割り切る考え方がもてはやされています。かつて尊ばれた日本の教えや行いが、時代遅れの「過去の遺物」とされて、形骸化していく可能性もあります。 

7.「過去(原因)・現在(過程)・未来(結果) 」

 しかし、今あるすべてのものは「過去」の積み重ねで成り立っています。私たちは、自らの「源」に無関心でいることはできません。「結果がすべて」という考えに執着している時ほど、過去の振り返り(検証)が疎かになりがちです。
 現在や未来を大切にするのは当然ですが、すべての結果には、そこに至る原因と過程があります。自らの「源」を顧みず、これまでのつながりを見つめ直さないまま前へ進んでも、豊かな未来は築けないでしょう。根を失った樹木が枯れてしまうように、未来もまた脆いものとなってしまいます。

8.空き家問題の原因

 こうした「縦の絆」が薄れることは、やがて家族のつながりや地域社会にも影響を及ぼします。その象徴の一つが空き家問題です。その原因の一つとしては、相続の手続きにおいて、土地や建物の所有権移転が「未登記」のまま放置されていることがあります。その結果、故人の名義のまま年月が経ち、売買も管理もできなくなった不動産が、全国各地で住環境の悪化を招いているのです。近年の政府の試算によれば、日本の「所有者不明土地」は国土の約20%にも及び、それは九州の総面積を上回るとされています。
 2024年から始まった相続登記の義務化ですが、その手続きには先祖代々の戸籍確認が必要です。長年放置されてきた場合、相続関係者が想像以上に増えていることも少なくありません。県外や海外に居住していて連絡が困難なケースや、相続人同士の対立により協議が進まないケースも見受けられます。

【第3部】「過去の価値」と「未来の希望」

9.過去の価値

 複雑に絡み合った課題を紐解くことは、決して簡単なことではありませんが、こうしたことを一つひとつ解決していくことができれば、自分自身だけでなく、多くの人の暮らしが守られ、日本社会全体に新たな活力が生まれるはずです。
 一説には、日本人の名字の約70%は「土地の名称」に由来するとも言われています。土地を紐解くことは、自分のルーツを紐解くことです。記憶を辿り、先祖を供養する気持ちで、昔の忘れ物に小さなけじめをつけてみませんか。
 過去の出来事そのものは変えられなくとも、「過去の価値」は、これからの行動で変えることができるはずです。記憶を辿る中で、思い出したくないことや触れたくない事実に、直面することもあるかもしれません。それでも過去と真摯に向き合い、心のつかえを解きほぐせたならば、自分が変わり、思いがけない未来を引き寄せることもあるかもしれません。

10.時を超えた「縦の絆」

 東日本大震災の被災地である「岩手県宮古市の姉吉地区」には、「昔の津波のことが刻まれた石碑」が残されています。そこに刻まれた「此処より下に家を建てるな」という先人の教えを、地元の人達が大切に守り続けたことで、津波による被害を免れ、多くの命が救われました。
 昔の人の想いを生かしたことで、今の人が生かされました。昔の人が残した想いは、現代の人によって尊いものになりました。人と人との心が時を超えて、「縦の絆」でつながらなければ、起こり得なかった奇跡でした。こうした「過去と今を結ぶ心の絆」こそ、古来より黄金の国として世界を魅了してきた日本の「真の宝」ではないでしょうか。本当に大切なものは、時代や流行に左右されることなく、決して忘れ去られることなく、いつまでも受け継がれていきます。

11.未来への道標「仁絆俱」

 日本人が育んできた心は、日本の発展を支えてきた源泉であると感じています。多様性が尊重される現代ですが、新しい考えを認めながらも、私たちが大切に守り育ててきた「凛とした心根」を源として、「未来への道標」を抱いてはどうでしょうか。偏った自国愛ではなく、誰の心にもある「ふるさと」への慈しみを胸に。
 考え方や表現は人それぞれ異なっても、願いはきっと同じです。「人と人が、仁の心で絆を結び、俱に(ともに)歩み続ける世になりますように」そんなささやかな祈りを込めて、「ジパング」に「仁絆俱」の字をあてました。

12.一隅を照らす

 私自身も、「仁」の心を抱き、人との「絆」を大切にし、皆さまと「俱に」歩みながら、家や土地に関わるお手伝いをさせていただきたい。その思いから、社名を『仁絆俱ハウス』と名付けました。
 相続相談を通じて「縦の絆」をつなぎ、空き家・空き地対策を通じて「横の絆」を広げ、お客様の大切な家や土地に、誠実に寄り添ってまいります。田舎の小さな会社ではございますが、一人ひとりとのご縁を大切にし、「一隅を照らす」存在でありたいと願っています。どうぞよろしくお願い申し上げます。  

株式会社仁絆俱ハウス
代表取締役 植野克明

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